新企業法(企業法No.68/2014/QH13)の主な変更点
2014年11月26日に国会で新企業法No.68/2014/QH13が承認され、2015年7月1日から施行されました。それに伴い、今後は政令や通達など施行細則の内容や運用面に注視していく必要があります。
新企業法の主な変更点:
項目 | 旧企業法(No.60/2005/QH11) | 新企業法(No.68/2014/QH13) |
企業登記手続 | ・事業登録証明書(BRC:Business Registration Certificate)が必要(9条1項) ※外資企業は投資証明書を取得した場合は、登記手続きを行なう必要がありませんでした・受理から10日で発行(15条2項)・BRCには支店・駐在員事務所の情報、事業内容の記載が必要(25条)・BRCの記載内容に変更がある場合10日以内に変更登録(26条) |
・企業設立の際に企業登記証明書(ERC:Enterprise Registration Certificate)の取得が必要 ※外資企業も内国企業と同様に手続きが必要となりました ・申請受理から3営業日以内に発行 ・申請書類に法定資本金証明書及び事業実施許可書等が不要 ・ERCへの支店・駐在員事務所の情報、事業範囲の記載は不要となり、定款のみに定められる(予定している業種の記載は必要)ことになったが、事業範囲を変更した場合は、当局への通知義務が発生する ・ERCの内容に変更がある場合は、10日以内に変更登録 (24条、27条、29条) |
出資期限 | 【有限会社】 ・定款、投資証明書に基づき36カ月以内で複数回に分けることが可能(Decree102号) 【株式会社】(80条、Decree102号) ・90日以内 |
【有限会社、株式会社共通】 ・企業登記証明書発行から90日以内(48条2項、112条1項)・2015年7月1日までに設立された企業は定款の定めどおりで良い(212条1項a) |
減資 | ・一人有限会社は減資を行うことができない(76条1項) | 【一人有限会社、二人以上有限会社、株式会社共通】 減資を行うことができる(87条) ・減資は以下の場合に可能 (a)定款資本の持分の一部を出資者に払い戻す場合(一定の要件あり) (b) 定款資本が、全額及び期限どおりに払い込まれない場合 |
社印 | ・社印については決まった形式があり、原則として1個に限られ、本社で保管の必要あり(36条) | ・自社で印鑑の形態・内容・個数の決定が可能(登録管理機関への報告、登録等が必要) ・社印には、社名及び企業コードを記載し、使用及び保管について定款で定める必要がある(44条) |
法定代表者 | 【共通】 ・一人 ・ベトナム常駐義務あり ・法定代表者が30日以上ベトナムを離れる場合には、書面で代表権を授権する必要があり。 (46条、67条、95条) |
【共通】 ・複数設置可能(13条2項) ・複数の代表者のうち一人がベトナム常駐していなければならず、ベトナムから出国する場合は他の者に委任しなければならない(13条3項) ・法定代表者が一人しかいない場合、授権する必要あり(13条3項)、法定代表者からの授権がない場合、会社所有者・社員総会が授権することができる(13条5項) |
【有限会社】 ・会長又は社長が法定代表者 ・定款で定める (46条、67条) |
【有限会社】 ・会長又は社長(55条、78条2項) ・定款に別段の定めがない限り、会長が法定代表者(78条2項) |
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【株式会社】 ・取締役会の会長又は社長が法定代表者(95条) |
【株式会社】 ・代表者一名の場合は原則として取締役会会長又は社長だが、定款に特段の定めがない限り、会長が法定代表者 ・代表者が二名以上いる場合、会長及び社長が当然に法定代表者となる (134条2項) |
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役員情報の変更 | ・特に規定なし | ・株式会社の取締役、監査役会の構成員・監査役、社長の情報変更事項がある場合、変更から5日以内にその氏名や個人情報などについて当局へ報告する義務あり (第12条) |
社員総会・株主総会の決議要件 | 【二人以上有限会社における社員総会・株式会社における株主総会】 (60条、104条) 普通決議:議決権・出資額の65%以上 特別決議:75%以上 ・書面決議要件:75%以上 |
【株式会社の株主総会】 →変更(144条) 普通決議:51%以上 特別決議:65%以上 書面決議:51%以上 ※現在の定款に旧企業法に沿った決議要件の記載がある場合は、新企業法施行後でも定款が優先されるため、上記の決議要件とするためには定款を変更する必要あり 【二人以上有限会社の社員総会】 →現状維持(60条) 普通決議:65%以上 特別決議:75%以上 書面決議:65%以上 ※ 定款で別途比率を定めることも可能(法定比率より低い比率が可能かどうかについては記載なし) |
【一人有限会社】 (68条6項) 普通決議:出席社員の過半数 特別決議:4分の3以上 書面決議:可能(同上) |
【一人有限会社】 →現状維持(79条6項) 普通決議:出席社員の過半数 特別決議:4分の3以上 書面決議:可能(同上) |
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社員総会・株主総会の定足数 | 【二人以上有限会社】 (51条1項) :定款資本の75%以上 【一人有限会社】(68条5項) :社員総会の2/3以上 【株式会社】(102条1項) :議決権株式の65%以上 |
【二人以上有限会社】 (59条1項) :定款資本の65%以上 【一人有限会社】(79条5項) :社員総会の2/3以上(同左) 【株式会社】(141条1項) :議決権株式の51%以上 |
少数社員・株主の権限 | 【二人以上有限会社】 ・25%以上の社員に社員総会の招集権(41条2項) ・75%以上の社員がいる場合、残りの社員は、社員総会の招集が可能(41条3項) |
【二人以上有限会社】 ・10%以上の社員もしくは社員グループに社員総会の招集権、さらに取引記録・会計帳簿・年次財務報告書の監視、社員登記簿、株主総会議事録の閲覧・謄写等、社員総会決議取消訴訟提起も可能(50条8項) ・90%以上を有する社員がいる場合、残りの社員グループも上記行為が可能(50条9項) |
【株式会社】 ・6ヶ月以上継続して株式の10%を超えて保有する株主(79条2項) a. 取締役会、監査役会の人事の推薦 b. 取締役会の議事録・決議、財務報告書・年間財務報告書・監査役会の報告書の閲覧・謄写 c. 株主総会の招集 d.監査役会に対する検査要求等 |
【株式会社】 ・6カ月以上継続して10%以上の株式を保有する株主(114条2項) →内容は旧企業法と同様 |
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株主代表訴訟 | 【二人以上有限会社】 ・社員は会長社長等への代表訴訟が可能(企業法に規定なし、Decree102号で規定) 【株式会社】 6カ月以上継続して1%以上の株式を保有する株主が提訴可能(企業法に規定なし、Decree102号で規定) |
【二人以上有限会社】 ・社員は会長社長等への代表訴訟が可能(72条、企業法で規定)【株式会社】 6カ月以上継続して1%以上の株式を保有する株主が提訴可能(161条、企業法で規定) |
株式会社の組織体制 | 【株式会社】95条 ・株主総会 ・取締役会 ・社長 ・監査役会:個人である株主が11名以上である又は会社の総株式の50%以上を所有する法人株主を持つ株式会社は設置義務 |
【株式会社】2つの類型(134条) パターン1: ・株主総会 ・取締役会 ・社長 ・監査役会:株主11名未満、かつ、各株主が会社の株式総数の50%未満を保有する組織の場合は任意 →旧企業法とほぼ同様 パターン2: ・株主総会 ・取締役会(うち20%以上は独立取締役でなければならず、かつ、取締役会に直属する内部会計監査委員会が必要) ・社長 |
- 17/07/2015
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